お茶の摘採について



◆伸び盛りのお茶の葉は摘みごろ
お茶の新芽が伸びて茶園一帯が明るい色に染まってくると、お茶の産地はにわかににぎやかになります。
お茶の新芽をいつ、どれぐらい伸びたところで摘採するかは、お茶のでき具合にかかわる大事なことです。早めの摘採では、質のよいみる芽(柔らかい芽)が採れますが、収量は伸びません。遅めの摘採では、芽が伸びた分だけ収量が伸びますが、日ごとに固い芽が増えていきます。
新茶は4月〜5月、二番茶は6月〜7月など、摘採のシーズンは地域、茶園ごとにほぼ決まっていますが、実際に摘む日は、その年の気温、天気により数日前後することがあります。お茶の新芽は5〜7日で一葉が開くと言われています。4葉、5葉が伸びた頃に一芯二葉、または一芯三葉を摘むのが良いとされ、お茶農家は芽が出始めたころから摘み時を逆算し、作業の準備を行ったりしながら、新芽の成長を注意深く見守ります。
お茶の芽は一斉に伸びるので、畝、茶園の区画単位でまとめて摘採します。家族や親せき、近所総出で作業することも珍しくありません。また、葉に水滴がついていると良いお茶ができないことから、一般的に雨の日は摘みません。

◆手摘み
もっとも古くからあるお茶の葉の収穫方法です。栽培が機械化される前は、手で一芽一芽摘んでいました。今は、玉露や上級煎茶などの高級なお茶を作るのに、手摘みが行われることがあります。玉露や上級煎茶の一部は、茶の木をかまぼこ型の畝に整形しない、自然仕立てで育てることがあり、手摘みならそうした茶の木からも新芽を摘むことができます。
新芽の茎をやさしくつまんで引っ張ると、自然にプチッと離れるポイントがあります。これがおいしいお茶になる部分。手摘みは、このおいしい部分だけを集めることができるので、極上のお茶づくりに向いています。
お茶を摘む人を「お茶摘みさん」と呼びます。お茶の木から余すところなく、かつ手早く良い新芽を摘み取るのには、長い経験が必要です。高級なお茶を作るところでは、何十人ものお茶摘みさんが腰に「びく」を付け、早朝から「プチ、プチ」という音を響かせています。

◆はさみ刈り
茶刈りばさみ、茶ばさみなどと呼ばれる茶葉収穫用の大きなはさみで葉を刈り取ります。植木屋さんが使う剪定ばさみに、ペリカンのくちばしにあるような袋を付けたもの。はさみで刈った芽が袋に入るように作られています。
日本で輸出用のお茶をたくさん生産していた明治時代に考え出され、摘採効率を大きく改善しました。しかし、現在ではより使い勝手の良い摘採機があるため、それでは刈れない狭いところで使うなど、茶刈りばさみの利用は少なくなっています。

◆機械刈り(摘採機)
動力を使って畝の茶を刈る機械を摘採機、茶刈り機などと呼びます。刃をスライドさせて茶葉を刈り、刈り取った葉を送風機で刃の後ろにつけた袋へ送って集めます。摘採機の普及は、摘採のスピードを手摘みの数十倍に上げ、今では一般的になったかまぼこ型の畝を増やしました。
摘採機でよく使われるのは、畝を挟んで二人で機械を持つタイプ。また、畝の間にレールを敷き、その上を機械が動く方式の摘採機もあります。これらの摘採機は、乗用型摘採機と比べると、傾斜地の茶園やカーブのある畝でも使え、小回りが利くのが利点です。
摘採機を使うときは、畝に伸びた新芽と刃の高さに注意し、畝に平行に進みます。刃が浮き気味になると刈り方が浅くなり、新芽の先の方だけを刈ってしまいます。深くなると、古葉や太い茎も混ざってしまいます。二人で持つ摘採機を使うお茶農家では、集中して上手に刈れるように、お茶刈り期間中は夫婦喧嘩や親子喧嘩をしないように気を付けている、という話もよく聞きます。

◆乗用刈り
水田で稲を刈るコンバインのように、人が乗って操作をする摘採機です。畝の間を進む車に摘採機能がついており、平らで広い茶園で使われます。刃の高さをセンサーやコンピュータで自動調整するものもあり、現在の摘採方法の中では最も効率よく行えます。
鹿児島、牧之原などの平らで広い茶園で使われています。

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